フラックスについて


BACK
はんだの中には、微量ですが多数の金属不純物が混入しています。 不純物の中には、微量でも接合性に悪影響を及ぼすものや、 はんだの特性を向上させるものがありますが、後者に属するものがフラックスです。

溶融はんだが被接合金属表面をぬらし拡散するためには、 相互の金属原子が互いに作用を及ぼし合う距離まで接近しなければなりません。 しかし、金属表面に酸化物が存在したり、汚染されていたりすると、 相互の原子の接近が妨げられます。これら酸化や汚染を取り除くには、

(1) 機械的方法
(2) 化学的方法

があり、 (1)は、サンドペーパーや金やすりを使って、これらを除去する方法で、 (2)は、フラックスを使用する方法です。 酸化物を除去するのにフラックスが使われ、汚染は溶剤を用いて除去します。

フラックスの働き

  1. 酸化物除去
  2. 加熱中の酸化防止
    金属表面は、温度上昇とともに酸化が進みますが、 フラックスは金属表面を薄くつつみ、空気に直接ふうれないようにします。
  3. はんだの表面張力の低下

松やにフラックス

松や杉など針葉樹の樹脂を水蒸気蒸留し、テレピン油を除去した不揮発性留分より得ます。

働き

74度Cで溶解し始め、内部に閉じ込められていた アビエチン酸(C20H30O2)が活性を呈し、 酸として働き始めます。 温度上昇とともに、 金属表面の酸化物を金属石けんのように溶解遊離(酸化銅-->アビエナイト銅)させます。

300度Cになると、不活性なネオアビエチン酸に変化し、 フラックスとしての効力を失います。

常温に戻れば、固体となり、 本来の性質(非腐食性、高絶遠性)を取り戻し、安定化します。


やに入りはんだ


フラックスを塗付して、別にはんだだけを与えるのは難しく、 作業能率も上がらないことより、 フラックスとしてやにを入れたはんだが工業分野では良く使われます。 (本校工学実験でも、このはんだを使っています。)

1芯、3芯、5芯などのフラックスが固体の状態で入っていますが、 芯数が多いほどやに切れなどがなく良いとされています。

注意したいのは、はんだ付けの際に飛散して電気的障害事故をおこすことがあることです。 これは、はんだ中のやにが急激に加熱され、空気や水分の膨張による場合、 フラックス中に含まれる活性剤の発砲物質による場合があります。

はんだ付けの際、やに入りはんだの切り口を、コテ先に当てないようにしてください。


BACK
電気通信大学 電子工学科 実験工学研究室
Update - November 15, 2005